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心房細動といわれたら

(1) 心房細動とは?

心臓は電気の刺激で1日約10万回動き続けています。心臓の右上の部分に洞結節とよばれる発電所のような部位があり、ここから心臓を動かすための刺激が出され、心臓全体に広がり心筋が収縮し全身に血液を送り出します。洞結節からは規則正しく刺激が出されており、脳と連携して、運動したり緊張したりするときは刺激を増やし、逆に寝ているときやリラックスしているときには刺激を減らして脈の数をコントロールしています。

心房細動とは、この洞結節からの信号が抑制され、心房全体が統率のない早い不規則な電気的興奮で細かくけいれんするような状態になっている不整脈で、脈が不規則になり、速くなったり間延びしたりします。そのため普段と比べ動悸を感じたり、息切れを感じやすくなったり、心臓が踊っているような違和感を感じたりすることがあります。最初のうちは自然停止することも多いですが、もともと心臓に病気があったり長く持続するようになると慢性化することもあります。

刺激伝導系の電気信号の伝わり方
刺激伝導系の電気信号の伝わり方
(公財)日本医療機能評価機構「Minds版やさしい解説 図解 不整脈」
http://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0047/G0000543/0003

(2) 心房細動で困ること

心房細動になっているときに困ることは2つあります。1つは脈が速くなりすぎたり間延びしすぎたりして、動悸やめまい、息切れなどの症状がでること、もう1つは心臓の中に血の塊(血栓)ができ、それが飛んで行って脳梗塞や心筋梗塞など全身の塞栓症を起こす可能性があることです。そのため、心房細動の治療は、脈の数をコントロールすることと、血栓の予防をすることが主体となります。

(3) 塞栓症の予防

心房細動で最も困ることは脳梗塞になることです。そのため、短期間しか持続しない発作性心房細動でも持続的に続く慢性心房細動でも血をサラサラにする抗凝固薬の内服を行います。抗凝固薬にも出血のリスクがあるため、現在は下記の表にあるようなスコアを用いて、1点以上あてはまる方は抗凝固薬の内服を行うことが推奨されています。

CHA2DS2VASc score

CHA2DS2-VAScスコアと脳梗塞発症率

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危険因子 スコア
C 心不全、左室機能不全 1
H 高血圧 1
A2 75歳以上 2
D 糖尿病 1
S2 脳梗塞、一過性脳虚血の既往 2
V 血管疾患の既往 1
A 65歳~74歳 1
Sc 65歳以上の女性 1
合計   0~9

(4) 心房細動に対する薬物療法

発作性心房細動や脈の数が速くなりすぎてしまう方には心房細動に対する薬物療法も行われます。治療には心房細動自体を停止させる調律コントロールの治療と、心房細動のままで脈の数を調整する心拍数コントロールの2つの治療があります。いずれの薬も少し心臓の収縮力を弱める作用があるため、心機能を見ながら注意して使用します。特に調律コントロールに使用される薬剤は発作の停止効果や予防効果がはっきりしないまま漫然と使用しないよう注意が必要です。

(5) 心房細動に対するカテーテルアブレーション

動悸などの自覚症状があり、心房細動を停止させる抗不整脈薬が効かない方にはカテーテルアブレーションという治療も行われています。頸部とソ径部からカテーテルという細い管を数本挿入し、左心房の中を電気的に焼灼することにより心房細動の停止および再発を抑える治療です。約1週間の入院が必要で、初回の成功率はおよそ75%程度です。再発が見られた場合は2回目の施術を行い、あわせた成功率は90%を超えています。最近の研究では、抗不整脈薬の内服治療に比べて心房細動発作の抑制率やQOLが有意に良かったとする報告もあります。しかし、施術に伴う合併症も散見されますので、経験を積んだ施設で行うことが重要です。当院からは安心して受けて頂ける施設をご紹介させて頂いております。

カテーテルアブレーション